随筆・小説・歌集・俳句集
田中園子 タナカソノコ【著】 ISBN: 1090-1013-2020 [四六判上製函入り]285p 20cm (1983-11-23出版) 定価=本体2381円+税
手紙の筆者は、能楽師・宝生流名人田中幾之助氏の夫人で、白樺同人、有島武郎・生馬、里見弴の姪御さんであり、受け取る子息は、当時慶応幼稚舎が「疎開学園」をひらいていた伊豆修善寺・野田屋旅館に学童疎開をしていた。氏は現在・慶応義塾大学経済学部教授の田中明氏である。氏はこのハガキをこの出版時まで40年の間大事に保管されていた。 当時書簡は、ハガキにかぎられており、文章は長いものは何枚ものハガキにしてとどけられた。内容は、時局の下での生活の様相や、めぐってくる季節をおりこんだ、ときに古典文学だったり、詩であったり、短歌であったり。母のこまやかな子息への心配りが、急時の下において届けられる。このハガキの意味は、とても大事なものを含んで、いまも子息の宝箱のなかにある。
【目次】 或る思い出―序にかえて 安東伸介 昭和十九年八月下旬―九月 昭和十九年十月 昭和十九年十一月 昭和十九年十二月 昭和二十年一月 昭和二十年二月 昭和二十年三月 昭和二十年四月 昭和二十年五月―六月初旬 付記 編集後記