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既 刊

随筆・小説・歌集・俳句集

反復する声音 ハンプクスルセイオン―ガートルード・スタインノヘンレキ

●反復する声音
 ―ガートルード・スタインの遍歴

三芳康義 ミヨシヤスヨシ【著】
ISBN: 978-4-86209-016-4
[四六判並製]224p 19cm
(2007-03-25出版)
定価=本体1800円+税

§処女作『Q.E.D.』から出発し、「メランクサ」を経て、表現の実験は、小説、散文詩から戯曲、オペラへと拡大していった。

◎セザンヌ・ピカソと同時代を共有し、その前衛思考に触発されながら、言語実験へむかった。最後に到達した「反復する声音」。初原の世界へと反転する遍歴を描く。

【目次】
一.『これで証明終わり Q. E. D.』―「あるがままのこと」を求めて/二.「メランクサ―根本的な性質Bottom Nature」を求めて/三.「メランクサ」2―音声としてのコトバの力学/四.文学的肖像―造形美術との比較から/五.スタインが見た二〇世紀―『やさしい釦Tender Buttons』を中心に/ 六.「戯曲」の始まり/七.スタインの描く「風景」 /八.呪文としての文学―『アメリカ人の成り立ち』の場合

【著者紹介】
三芳康義(1960年~)
埼玉県生まれ。英文学専攻。駒澤大学大学院人文科学研究科博士課程満期終了。現在、駒澤大学、日本大学、城西大学非常勤講師。曹洞宗住職。

【書評】
(小堀隆司氏/読書人 2007.6.29)
「スタインの個性的な文体が最高潮に達した作品とは散文詩『やさしい釦』(1914年)と『アメリカ人の成り立ち』(1925年)であると考える著者は、音楽性を前者の作品に見て意味内容とは無縁にただひたすらに流れる音に音像を造り出そうと試みている。読み手の想像力が試されるその読み方は本書の圧巻として興味深く説得力に富み、読みの愉しさを与えてくれる。」「さらにスタインの「反復」がやがて一種の呪術的な「呪文」へと発展してゆく作品に『アメリカ人の成り立ち』位置づけられるが、「反復」は原初的なコトバの霊力を蘇らすための究極の文体なのだと結論に迫る。それに加えて、「一家族の発展史」という副題が暗示するように、歴史の繰返しと微妙な変化を描写する格好の文体が「反復」にあると見なす読みは、「反復」のさらなる可能性を読者に予感させる。」


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