現代思想/表象交通論/文化人類学・民族学・民俗学・歴史人類学/列島文化の起源へ/考古学系/現代社会・制度
高良留美子 コウラルミコ【著】 ISBN: 978-4-86209-083-6 C1021 [A5判並装]536p 20cm (2021-06-01出版) 定価=本体3600+税【3960円(税10%込)】
《原始、女性は「太陽」をも統べる、輝く「月」だった》 ★高群逸枝の女性史研究を継承し、先史縄文に〈母系・母権〉と〈月の文化〉、 〈コモンの社会像〉を見出した著者の、生涯をかけた研鑽の足跡をつづる大著。 バッハオーフェン、モルガン、エンゲルスにはじまり、以後の人類学の流れをたどり、さらには最新の考古学、歴史学、神話学、国文学、DNA研究、海民研究、アイヌ研究の業績を批判的に読解し、母系・母権的な縄文の社会と文化を描き、来たるべき社会像を追究する「高良女性史論」の到達点。 ★日本の文化の姿は、歴史の奥深い背景をつくってきた〈女の文化〉を理解することなしには成り立たない。 本書は、そのための豊かな材料を提供してくれる宝庫である。
【主なもくじ】 第一部 母系制と母権制、神話との出会い―歴史の真実を求めて 第一部続篇 月に捧げる日本の動物供犠とその禁止―縄文時代から天武の禁令まで 第二部 DNAの研究により見出された縄文の母系制社会 第三部 「海民」文化と、母系制が存在した関東東南部の先史・古代文化を探る 第三部続篇 アイヌ民族を考える―縄文人に最も近い人々 第四部 北九州の母系制社会の周辺文化を探る 第五部 世界でも独特な縄文の社会と文化 ―生産手段を共有し、農耕を本格的に拡大しなかった。 この時代の大半は母系制の可能性 第六部 未来社会の可能性を探る―性別役割分業の克服、生産手段の共有
【著者略歴】 高良留美子 こうら るみこ 詩人・評論家・作家。女性史研究者。1932年、東京生まれ。東京藝術大学美術学部、慶應義塾大学法学部に学ぶ。尖鋭な文化雑誌「希望(えすぽわーる)」に参加。1956年、海路フランスへ短期留学、近代美術館勤務。1962年、詩集『場所』により第13回H氏賞、1988年、詩集『仮面の声』により第六回現代詩人賞、2000年、詩集『風の夜』により第9回丸山豊記念現代詩賞を受賞。1989~96年、城西大学女子短期大学文学部客員教授。10冊の詩集と3冊の選詩集を刊行。2冊の小説集(彩流社)、長編小説『百年の跫音』上・下(御茶の水書房)。評論に『高群逸枝とボーヴォワール』をふくむ自選評論集『高良留美子の思想世界』(全6巻、御茶の水書房)、『岡本かの子 いのちの回帰』(翰林書房)、『恋する女―一葉・晶子・らいてうの時代と文学』(学藝書林)など。また、テレビ番組『神々の詩(うた)』の詩集(毎日新聞社)、翻訳詩集『アジア・アフリカ詩集』。日本神話論に『花ひらく大地の女神―月の大地母神イザナミと出雲の王子オオクニヌシ』(御茶の水書房)。編纂書に『高良武久詩集』(思潮社)、『高良とみの生と著作』(全8巻、ドメス出版)、『宮中養蚕日記』(田島民著、ドメス出版)、『浜田糸衛 生と著作』上・下(高良真木・高良留美子・吉良森子編、ドメス出版)、『誕生を待つ生命―母と娘の愛と相克』(高良美世子著、高良留美子編著、自然食通信社)、『戦争期少女日記―自由学園・自由画教育・中島飛行機』(教育資料出版会)などがある。
カバーおもて 唐草文神像土器(長野県辰野町樋口内城館址遺跡出土) 装画 吉原航平