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既 刊

現代社会・制度

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●行政と司法のもたれ合い構造を問う
伊東市都市計画道路変更決定事件 逆転勝訴の記録

島田 靖久 シマダヤスヒサ【著】
ISBNコード:978-4-86209-091-1
Cコード:0032
ジャンルコード:15(社会科学)
発行年月日:2024年11月23日
A五判並装
縦:210mm
横:148mm
厚さ:14mm
重量:390g
ページ数:258
本体:2,273円
(税込 2,500円)
行政と司法のもたれ合い構造を問う

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◆静岡県伊東市・都市計画道路変更決定事件。逆転勝訴に至る記録。
 住民たちはいかに闘い、そこに何が見えたのか。

本書は、まちづくりにおける、 住民たちの行政・司法への率直な疑問と強い怒り、 抵抗する住民たちによる緻密な情報収集、 そして粘り強い闘いの物語である。

◇成熟社会に入った今日のまちづくりにおける、 計画論(マスタープラン)、
 都市計画決定、市民参加のあり方を考えるための必見の書。

【目次】
序 なぜ本書刊行に至ったか
一章 判例依存、思考停止の司法への疑問
   過去の「却下」判例の分析から
はじめに
1 新・都市計画法の制定と「却下」判例について
2 根拠のない「処分性無し」の法理
3 一般的・抽象的決定、対象は不特定・多数という判決理由の問題点
4 後続段階での権利回復は可能か―仙台高裁判決を事例に
5 事情判決と「公共の利益」の関係をめぐって
6 盛岡訴訟と最高裁の「受忍限度」判決
7 まとめとして―払拭されない旧判例の残像

二章 静岡地裁の訴訟指揮/判決の問題点
   弁護士探しから「10号事件」取り下げ要請、「裁量権」による棄却判決まで
はじめに
1 弁護士探しから伊東市の行政訴訟参加、「10号事件」取下げまで
2 地裁の裁判権侵害と司法不信
3 都市計画道路の「裁量権」に関する論点
4 高裁控訴のため「原判決取消の理由書」を提出
5 まとめとして―行政と司法の「もたれ合い」を克服するために
[参考資料1] 原判決取消の理由書

三章 都市計画道路の変更内容の違法性について
   実態と乖離した合理性、妥当性なきデータ操作のカラクリ
はじめに
1 計画変更の理由・その1:将来交通量と人口予測の関係
2 計画変更の理由・その2:道路構造令の解釈・運用
[参考資料2] 無理強いする行政と業者等のモラルと責任
[参考資料3] 関連の行政計画等
             
四章 計画変更手続における違法性
   原案作成・住民説明・最終決定段階の検証
はじめに
1 原案作成段階における手続無視・違反
2 住民説明段階での手続の問題点
3 最終決定段階における手続違反
[参考資料4] 住民説明会の経過と変更決定の変遷記録
著者の面影を追って

生きた証 感謝にかえて

年表:伊東市のまちづくり・道路づくりと都市計画道路変更決定事件の経緯 《資料篇》
東京高裁 判決文
静岡地裁 判決文(一部省略)

【著者プロフィール】
島田 靖久(シマダヤスヒサ)
1940年、静岡県伊東市に7人兄弟の次男として出生。家は、江戸期には農業の傍ら持ち回り的な地元の八幡神社・禰宜(鍵取り別当:松月院・僧都)を務め、明治以降は世襲制の宮司職となる(祖父は旧村の村長を務め、父は教職を兼務)。
県立伊東高等学校をへて、早稲田大学理工学部建築学科卒業、同理工学研究科修士修了。1級建築士取得。1971(昭和46)年、東京で環都市建築設計事務所を立上げ、㈱環設計代表・所長を32年間務めた。2007(平成19)年に伊東市に帰郷。2023年10月逝去。
在職中より、自家が長期未着手の都市計画道路の拡幅計画で、建築規制を受ける現実に向き合う。住民たちの起こした都市計画道路変更決定の取消訴訟の中心的役割をになうが、一級建築士として都市計画の実務で得た現場感覚は、詳細な検証となって裁判に生かされ、計画決定の歪みだけ でなく、行政と司法のもたれ合いの構造を浮き彫りにする事となる。

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