表象交通論/ 文化人類学・民族学・民俗学・歴史人類学
川野健治 カワノケンジ・圓岡偉男 ツブラオカヒデオ・ 余語琢磨 ヨゴタクマ【編著】 /太田俊二 オオタシュンジ・木戸 功 キドイサオ・ 橘 弘志 タチバナヒロシ・原 知章 ハラトモアキ・ 三嶋博之 ミシマヒロユキ【著】 ISBN: 4905913667 [A5判並製]302p 21cm (1999-07-12出版) 定価=本体2500円+税
人文科学の諸分野を専攻する気鋭の研究者たちが集い、現代の人間経験に切実にふくまれる問題群の具体(たとえば高齢者の住宅環境、食事介助など)から、他者・行為・物・環境などの諸言説を根底から問い直す。
【目次】 自然のなかの人間(太田俊二)/心理学の生態学的根拠―ココロの起源としての知覚‐行為循環(三嶋博之)/人工的環境への適応―高齢者居住施設にみる人間・環境システムの形成過程(橘弘志)/「もの」をめぐる文化的行為―意味の器としてのやきもの(余語琢磨)/「文化」の再想像―「全体としての文化」から「メディアに媒介された文化」へ(原知章)/私の家族・他者の家族・家族というもの(木戸功)/介護における行為の協調関係について―食事介助場面の検討(川野健治)/他者と社会システム(圓岡偉男)
【著者紹介】 ・川野健治(1962年~)国立精神・神経センター精神保健研究所心理研究室室長、発達心理学 ・圓岡偉男(1964年~)早稲田大学人間科学部講師、理論社会学 ・余語琢磨(自治医科大学看護短期大学専任講師、文化人類学 ・太田俊二(1967年~)早稲田大学人間科学部助教授、環境生態学 ・木戸 功(1968~)早稲田大学人間科学部講師、家族社会学 ・橘 弘志(1965年~)千葉大学工学部助手、建築計画学 ・原 知章(1970年~)大分県立芸術文化短期大学国際文化学科専任講師、文化人類学 ・三嶋博之(1968年~)福井大学教育地域科学部助教授、生態心理学 *この肩書きは、刊行当時のものです。
【書評】 新たな地盤へ向けて 物、行為、身体、システムへの比重の移行を実感させる (河本英夫氏/読書人 1999) 「人間科学の比重が、言語、意味、現象から、物、行為、身体、システムへ移行しつつある。言語、意味、現象も概念、視座、体系から移行してまだ日が浅い。この目まぐるしい移行は、過去の残滓を引きずったまま行うよりなく、立ち上げの試行錯誤を伴わざるをえない。フィールド調査、インタビュー、アンケートさらにはアフォーダンスの観察という手法を駆使したさまざまな試みが、この試行錯誤の内実である。」「こうした人間科学の動向には、以下のような特質がある。行為は局所においてみずからを形成すること、つまりそこでの知識は自己領域化すること、またそれが全体的な見取り図から配置を受けるものであるかどうかを一切括弧入れすること、複数の行為連関は、複雑に絡み合うこと、しかも行為連関は浸透するのであって、因果関係とも、論理的前提関係とも異なることである。人間科学は、確実に新たな地盤へと向かって胎動し始めていることが、実感できる。」