西洋文化の起源へ
アンドレ・ルロワ・グーラン ANDRE LEROI-GOURHAN 【著】 /アンリ・ロケ【対話者】 /蔵持不三也【訳】 ISBN: 4-905913-19-5 C3020 [A5判並製]315p 21cm (1985-06-27出版) 定価=本体2900円+税
ルロワ・グーランは、旧石器洞窟絵画の実証的研究と記号学的推論によって、人間の表象行動の始源的な様態を見事に描きだした。フランス考古学がいかに広範な知的交友と研鑽のうえにつみあげられてきたか、その生涯の知的遍歴と仕事、情念の姿を浮かびあがらせた好著。考古学・人類学・民族学・美学・神話学に相渉る境界的思惟をそそる読み物となっている。
【目次】 一、人間、ごく当たり前に/二、出立から/三、日本の憶い出/四、中国/五、神話文字・絵文字・造形表現…/六、文学について/七、知の構築/八、博物館のことども/九、自画像/十、悦びの力/十一、先史学・歴史学・民族学…/十二、パンスヴァンにて/講演及び論文三篇
【著者紹介】 アンドレ・ルロア=グーラン(1911~1986年) フランスの先史学者。パリ生まれ。国立東洋言語学校でロシア語と中国語の課程を修めるかたわら、マルセル・モースの講義を聴講するなどして独学で民族学を学ぶ。1940-45年、国立中央科学研究所研究員、主任研究員。第二次世界大戦後には1945年に文学の、また54年には理学の学位を授与され、リヨン大学教授、パリ大学教授、ジュネーブ大学より名誉博士号を授与。コレージュ・ド・フランス教授、パリ大学付属民族学研究所所長などの要職を歴任。民族学研究所養成所、先史時代学術調査学校を創設するなど、大家としての名声を確立。 ヒュルタン洞窟、アルシー・シュル・キュール洞窟(ヨンヌ県)、メニル=シュールオジェ墓壙、パリ南東のパンスバン野営地などの旧石器時代遺跡のほか、多くの遺跡の発掘調査を実施。1937(昭和12)~39年には日本政府給費留学生として来日し、第二次世界大戦直前で日仏両国間の関係が思わしくないなかで東アジア先史文明の研究に打ち込み、38年には北海道でアイヌ文明の調査を行っている。 著書・論文多数。邦訳されている著書・論文=『身ぶりと言葉』新潮社 1973、『先史時代の宗教と芸術』蔵持訳・エディタースクール出版部 1985、「旧石器時代の画像及び象徴記号の美学的かつ宗教的解釈」『古代文化』1981.10月号、「加撃」『神奈川考古』第12号 1981。 クロード=アンリ・ロケ(1933年~) ダンケルク生まれ。文学博士。芸術学。モントリオール大学客員教授をへて、国立高等工芸学院・美術史教授。ラジオ・フランスのフランス=キュルチュール特派プロデューサー。エリアーデ、ランサ・デル・ヴァストとの対談書も出している。文学評論、エセイ、詩論多数。
【訳者紹介】 蔵持不三也(1946年~) 栃木県生まれ。早稲田大学仏文科卒。パリ第四大学修士課程終了、パリ高等社会科学研究員前期博士課程終了。現在、早稲田大学人間科学学術院教授。文化人類学専攻。 著書=『祝祭の構図』ありな書房、『異貌の中世』弘文堂、『ワインの民族誌』ちくまライブラリー、『シャリヴァリ』同文舘出版、『ペストの文化誌』朝日選書、『ヨーロッパの祝祭』(編著)河出書房新社、『神話・象徴・イメージ』(編著)原書房、『シャルラタン』新評論 訳書=A・ヴァラニャック『ヨーロッパの庶民生活と伝承』白水社(クセジュ文庫)、同『エネルギーの征服』新泉社、同『先史時代の宗教と芸術』日本エディタースクール出版部、J・アタリ『時間の歴史』原書房、E・バンヴェニスト 『インド=ヨーロッパ諸制度語彙集Ⅰ・Ⅱ』 (共訳)言叢社、F・ルークス『肉体』(共訳)マルジュ社、R・トマ『スポーツの歴史』白水社(クセジュ文庫)、E・ルロワ=ラデュリ『南仏ロマンの謝肉祭』新評論、N・ルメートル他『図説キリスト教文化事典』原書房、E・マソン『世界秘儀秘教事典』原書房、F・コント『ラルース神話百科』原書房、ほか多数。