身体の思想/養育論(心の発達と病理)・福祉論/実用書系
西原克成 ニシハラカツナリ【著】 ISBN: 978-4-86209-002-7 [四六判並製]320p 20cm (2002-12-10出版) 定価=本体1905円+税
赤ちゃんの栄養と保育のあり方は1970年代に大転換しています。この事実をだれも忘れてしまっていますが、そこには大きなまちがいがありました。本書は戦後の乳児保育のあり方全てをみつめ直した養育書です。 ①「腹ばい」「舐めまわし」「高ばい」は発達に欠かせないステップ。②乳児アレルギーは、赤ちゃんの腸のしくみを知らない育児常識からおこる。③離乳のはじまりはできるだけ遅いのがよい。④二歳まで母乳中心の保育で自然離乳がよい。⑤一歳頃にはじまる口呼吸の習慣は生涯の病の元。⑥「歩かせすぎ」はとても危険。⑦からだに重力の歪みがかからないような寝かせ方、噛み方も大切など。 ◇巻末に2002年4月になされた「母子健康手帳」改訂の好ましい面と、改訂が未だ不十分なことを指摘するとともに、「赤ちゃんの保育相談から」「出産時の臍帯結紮の時期と鉄分補給について」「新生児期の顆粒球(好中球)増多について」「ヒトと牛の赤ちゃんに与える人工乳・離乳食と狂牛病」などの論を加えました。
【主な目次】 序 わが国の子育て医学のあやまり 1.「母子健康手帳」のまちがいが、全ての「育児百科」のまちがいの元になっている 2.発育をチェックする時代は終わった 3.発育の段階をしっかりと踏まえることの大切さ 4.「離乳のはじまり」をめぐる赤ちゃんの危機 5.母乳保育は人工乳保育とどうちがうか 6.否定された「離乳の完了」という育児法 7.口・舌の訓練と「きれいすぎる環境」 8.一歳すぎ頃を境とする赤ちゃんの危機(1) 9.「口呼吸習癖」と「オシャブリ」の効用 10.一歳すぎ頃を境とする赤ちゃんの危機(2) 11. 赤ちゃんの寝かせ方のまちがい 終章 赤ちゃんの「いのちのきまり」など。
【著者紹介】 西原克成(1940年~) 神奈川県生まれ。東京医科歯科大学卒。東京大学大学院(医学部)博士過程修了。東京大学医学部口腔外科講師。2001年退職。現在、西原研究所・西原歯科口腔外科診療所を東京・六本木に開設している。三木成夫の生命形態学を発展させ、重力対応進化学に立った新しい《生命科学》の構築をめざして、「人工骨髄の開発・実用化と免疫学の新概念確立のための実験研究」をおこなってきた。その成果は、『顔の科学』(日本教文社)『重力対応進化学』(南山堂)『顎・口腔の疾患とバイオメカニクス~歯科医学の新しいパラダイム』(医歯薬出版)などの理論書に結実するとともに、「育児医学」「免疫学」「呼吸健康術」などにかんする数多くの普及書・実用書となっている。
【書評】 (安保徹〈新潟大学医学部教授・免疫学〉/産経新聞 2001.4.2) 「この本の著者の西原克成氏は、生物の進化が重力を中心とした物理化学的な変化を引き金とし、遺伝子発現を促すことにより起こることを明らかにした偉大な生命科学者である。また、口腔外科関連の臨床も行っていて多くの自己免疫疾患や口腔内疾患で悩む患者さんを救っている。…なによりもこの本を読むと、生きる喜び、子供を育てる喜びなどが湧き出してくる。新しく母親になる女性にはもちろんのこと、指導的な立場にある大人も、孫を持つおじいちゃんやおばあちゃんにも、ぜひ読んでもらいたい本である。」