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既 刊

美術造形・美術史

イタリアの記念碑墓地画像集へ イタリアノキネンヒボチ―ソノレキシトゲイジュツ

●イタリアの記念碑墓地
  ― その歴史と芸術

竹山博英 タケヤマヒロヒデ【著】
ISBN: 9784862090201
[B5判並製]316p 26cm
★カラー口絵16p。モノクロ図版510点。
(2007-06-30出版)
定価=本体7800円+税

§イタリア各都市に生きる記念碑墓地は、
西欧の人々が生死について抱いてきた観念表象の結晶であり、
西欧造形芸術の秘められた核を物語る。
本書は、その歴史文化と造形芸術を
世界ではじめて包括的に紹介した労作である。

◎近代イタリアに華開いた墓地文化と造形芸術。
◎著者はイタリア全土の主な都市墓地を10余年にわたり調査・撮影。本書は、その歴史文化と造形芸術を世界ではじめて包括的に紹介した労作です。イタリアの墓地彫刻には、専門の墓地彫刻家と各時代の著名な芸術家が加わり、その造形には目を見張るような存在感、高い芸術性があります。イタリア本国でもこの種の刊本はありません。

【目次】
序文/一章 序説
まえがき
第1章 墓地の歴史 Storia del cimitero
第2章 トリーノ Torino
第3章 ジェノヴァ Genova
第4章 ミラーノ Milano
第5章 ブレシャ Brescia
第6章 ポッサーニョ Possagno
第7章 ヴェネツィア Venezia
第8章 ボローニャ Bologna
第9章 フェッラーラ Ferrara
第10章 フィレンツェ Firenze
第11章 ルッカ Lucca
第12章 ピーサのカンポサント Camposanto di Pisa
第13章 ナポリ Napoli
第14章 カターニャ Catania
第15章 バーリ Bari
第16章 ローマ Roma

【著者紹介】
竹山博英(1948年~)
 東京都生まれ。現在、立命館大学文学部教授。東京外国語大学でイタリア語とイタリア文学を学び、ローマ大学でイタリア現代文学と民俗学を学ぶ。留学中に現地調査の面白さを知り、祝祭や葬送儀礼の調査を行う。その後中世から現代に至る民衆の文化、宗教的建造物、組織犯罪などの調査と文献研究を行っている。主著に『シチリア・神々とマフィアの島』『マフィア その神話と現実』『シチリアの春』『ローマの泉の物語』。主訳書に、C.ギンズブルグ『ベナンダンティ』『闇の歴史』(せりか書房)、P.レーヴィ『アウシュヴィッツは終わらない』『周期律』(工作舎)などがある。

【書評】
(蔵持不三也氏/週刊読書人 2007.9.14号)
「死はなぜにこうも豊かなのか――。墓地をそのかけがえのない表象として、死者と生者との記憶を取り結び、時に一族の富と権威を誇示し、彫刻家たちの創造力をも掻きたててやまない。単に死者を悼むだけでなく、不定形な死の形と意味を、すぐれて寓意的かつ神話的な世界へと飛翔させる。」「本書はイタリア文学者・民俗学者としてつとに知られる著者が」「イタリアの15都市の墓地を長い年月をかけて調べあげ、その代表的な墓所彫刻を、著者自身の撮影になる30葉の口絵カラーと500葉を超えるモノクロ写真などで克明に解き明かした労作である。そこでは被葬者と彫刻家、それに彫刻自体が紡ぎだす三重の物語が、パノフスキーやアリエスらの先行研究にも目配せしながら、平明な文章で丹念かつ周到に語られている。」「本書の狙いは、墓所を舞台として展開した芸術家たちの創造行為の何たるかを、いわば文化の生態系のうちに描き出すところにあり、その意図はものの見事に達成されている。そのかぎりにおいて、本書は、イタリア文化の奥行きの深さと、アルス・モリエンディ(往生術)を生んだ死のイマジネールの典雅さとを余すところなく知らせてくれる。文字通りの力作といえる。」

(岡田温司氏/図書新聞 2007.10.6号)
「本書の最大の魅力は、著者本人が実際にイタリア各都市の墓地をその足で訪れて、有名無名の人たちの墓所を丹念に写真におさめ、それらのひとつひとつを丁寧に読み解いていくスタイルにある。紀行文と美術史とが、いわばここで見事に合体しているのである。」「かつて埋葬の場所が教会堂のなかにあった時代、王侯貴族や高位聖職者、大商人たちが、名高い芸術家を雇って、壮麗にして豪華な墓所を競って建造していたルネサンスからバロックの時代」(があった)。「バロックの教会堂には、いたるところに頭蓋骨やスケルトンが跋扈し、不気味で時にはユーモアすら感じさせるダンスを踊っていて、人々はごく日常的にそれらを眼にしていたのだが、そうした豊かな死の寓意的イメージは、近代には、表向き歓迎されざるものとなり、無意識の淵へと追いやられてしまった」。「18世紀の末以降、主に公衆衛生上の理由から、埋葬の場所は郊外の墓地に移されることになるわけだが、イタリアではこれ以後も、死者を埋葬する空間や儀礼を演出し飾るという、カトリック特有の「追憶のカルト」(サミュエル・コーン)は、基本的には変わることはなかったのだ。」「著者は、トリーノ、ジェノヴァ、ミラーノ、ヴェネツィア、ボローニャ、フィレンツェ、ピーサ、ナポリ、ローマなど14都市の公共墓地を訪ね歩き、数々の墓のモニュメントとじっくり対面しているのである。記述の大半は、それぞれの墓碑の様式論的で図像学的な分析記述に費やされている。それらは、多くの場合、建造された時代の芸術様式を鮮やかに反映していて、新古典主義、ロマン主義、象徴主義、リベルティ様式(アール・ヌーヴォー)、アール・デコ、表現主義、果ては前衛的な抽象主義に至るまで、その意匠は、豊富な図版とともに読者の目を楽しませてくれる。」「正直なところ、近代においてもイタリア人たちはこれほどまで墓に執心していたのかと、あらためて驚かされた次第である。」「著者自身も何度か強調しているように、こうした近代の「墓地研究は端緒についたばかり」である。本著はその導入のようなものだという。今後のさらなる研究の発展深化を期待したい。」

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