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既 刊

現代思想/現代社会・制度/地域史・地誌

山の珈琲屋 ヤマノコーヒーヤ イイタテ「アグリ」ノキロク

●山の珈琲屋 飯舘「椏久里」の記録

市澤秀耕+市澤美由紀
イチサワシュウコウ+イチサワミユキ【著】
ISBN: 9784862090447
[四六判並装]248p 20cm
(2013-03-11出版)
定価=本体1600円+税

◆推薦◆田口 護 (日本スペシャルティコーヒー協会会長、カフェバッハ店主)
 原発事故避難の危機にたちむかう、大切な仲間の記録です。
 たくさんの人に読んでほしい。


§山里の飯舘で20年にわたり珈琲屋を営んで、近隣にその桃源郷のような風景と味がしられていた、「椏久里」コーヒー。原発避難により、福島市に移して再開。農とサービスの原点を求め築いてきた「カフェの力」は、いま避難者や近隣の人々の集う、大事な場所になっている。
何を失ったのか、何にむきあって「掛け替えのない人生」を生きていくのか。揺れ動く被災者の内面と日常の営みが、率直にしなやかに記述されている。避難者に、そして読者にも、それぞれの自前の築きあげる力にとどき、響きあう本であれば、幸いです。

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【カバー袖のことば】
●飯舘の家(うち)では昔から、おばあさんが知らない人にでも「あがってがっせー」「お茶飲んでがっせー」と人を寄せていた。ほいども泊めていたと聞いています。僕たちが今やっているコーヒー屋もボクにとっては、その延長線にあるように思います。(秀耕)
●避難になろうとしている時、雑誌の取材があり、「あなたにとって一番大切なものは」と質問され、おもわず「焙煎機です」と答えました。……事故後いったい自分たちはどうすればいいんだろう。何を持ち出し、どこに避難しようか。せめて、焙煎機だけは持ち出したい、一つの希望みたいなものでした。(美由紀)「大切なもの」p.139より

●無用の被曝
3月23日深夜、妻と息子が一次避難先から戻ってきた。……本来、ここで国等の避難指示があれば、線量の多い飯舘に戻ることなく、長期避難体制を選んだ方々も多くいたことだろう。この時点で、第一原発から北西方向の浪江町や飯舘村の線量が高いことを知りながら、避難指示は無かった。国は一部の国民の命や健康よりも、体制を維持することを優先するということを、あらためてわが身を持って感じている。(p.148より)
●原発難民としての不信の根源
 3月15日18時、飯舘村役場付近の空間線量が毎時44マイクロシーベルト。事故後最初の公式な飯舘村の空間線量である。この時点で避難どころか屋内退避の指示も出なかったのは、なぜなのだろうか。飯舘村や浪江町津島地区の人々を避難させることよりも優先させたことは何だったのだろうか。「不信の根源」はここに発する。 国も福島県も飯舘村も、事故後1か月も避難指示を出さなかった。……水が飲めなくなっても、まだ避難指示が出ない。指示が出されなかった理由を知らないと、この不信は拭い去れない。飯舘村民の多くが、心の奥底に同じ思いを抱えているのではなかろうか。……遅かった避難指示、損害賠償の取り組みなどの一連の経過から、国や県、村などの統治機構に対して猜疑心が膨らんだ。これから一丸となって再生に取り組まなければいけないとき、人と人、民と統治機関との信頼関係は最低限の必要条件である。(p.214より)

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【目次】
椏久里福島店
 放射能避難で山から街へ/一時再開そして休業/福島に旗を立てるぞ!――強かった土着意識/騒然とする中、引越し、開業準備/気が付けば避難先も不安がたくさん
阿武隈山地・飯舘村
 貧しくてそして豊かなくらし/飯舘村の暮らし/生い立ち/ムラの仕事に関わる/最初の仕事は阿武隈開発/自立、自治への目覚め/結婚五五年の冷害、豪雪/†なれそめ/夢創塾/†若妻の翼
椏久里創業
 野菜と自家焙煎珈琲の店・椏久里/コーヒー屋へのレール――カフェバッハ田口夫妻に導かれ/材木搬出も自分たちでやった店づくり/賑やかに開業し、すぐに迎えた厳しい冬/「よいコーヒー」を「よい空間で」/コーヒー生産の現場を見て/ケーキを作り、パンを焼く/農業は一時お休み/ブルーベリーを……/†何かを始めよう。それがカフェだった(いいたての嫁の悩み/模索の日は続く/カフェバッハに入門/先祖に手を合わせた/修業始まる/お嫁さんは地域で育つ/大切なもの)
3・11 and after
 3・11、その日/原発避難始まる/一時避難と無用の被ばく/一次避難 それぞれの避難/根強い習性、土着意識と“むら”意識/正しく怖がる?/原発は砂上の砂上の楼閣だった
信頼を取り戻して再生を
除染/原発難民として不信の根源/再生に向うために/これから
失くしたもの
 求めてきた「夢」実現の舞台/日々の暮らし/「故郷」の喪失(血縁)/集落共同体(地縁)

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