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表象交通論/身体の思想/ 養育論(心の発達と病理)・福祉論/現代思想/ 精神分析・心理・カウンセリング学系/現代社会・制度

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皮膚-自我 ヒフ-ジガ

●皮膚-自我 LE MOI-PEAU

アンジュー,ディディエ Anzieu,Didier【著】
/福田素子【訳】/渡辺公三【解 説】
ISBN: 4905913470
[四六判上製]428p 20cm
(1993-11-25出版)
定価=本体4175円+税

§母(皮膚)に包まれて生まれる子どもの初期的な自我の構造、
機能、病像と超出の心的過程をあきらかにした労作。

〈皮膚〉の困難と試練は、胎乳児期に起源をもっている。この時期に、接触感や音や温度、嗅い、味覚、筋肉、苦痛、興奮、夢などの諸感覚の外被が形づくられ、〈皮膚―自我〉として構造化されるが、構造が脆弱だったり欠陥があると、〈考える自我〉の共通感覚がうまく形成できなくなる。こうしたエディプス段階以前の母子による原幻想に視線をこらして、音や温度、嗅い、味覚、苦痛といった諸感覚の外被の生成が、いかに個体にとって重大な意味をもつか。その構造、機能、病像と超出の心的過程を解明する論著。

【目次】
第一部 発見― 1章:認識論的立場に基づく序/2章:四連〈比較行動学・集団研究・投射テスト・皮膚科学〉のデータ/3章:「皮膚-自我」の概念/4章:ギリシアにおけるマルシュアースの神話/5章:「皮膚-自我」の形成
第二部 構造、機能、超越― 6章:「皮膚-自我」の二人の先駆者~フロイトとフェダーン/7章:「皮膚-自我」の機能/8章:基本的な感覚運動的区分の障害/9章:自己愛的人格および境界例における「皮膚-自我」構造の欠陥/10章:二重の接触禁忌、「皮膚-自我」を乗り越える条件
第三部 主要な構成要素― 11章:音響の外被/12章:温度の外被/13章:嗅覚/14章:味覚の混乱/15章:筋肉からなる第二の皮膚/16章:苦痛の外被/17章:夢のフィルム/18章:補遺/解説:渡辺公三

【著者紹介】
ディディエ・アンジュー(1923~1999年)
パリ近郊のムラン生まれ。1945年、エコール・ノルマルに入り、48年に哲学教授資格試験に合格。パリ大学心理学研究所の過程を終え、1957年に『フロイトの自己分析』で文学・人文科学博士号を取得。この論文は1988年に大幅な改訂による版が刊行され国際的に高い評価を受けている(邦訳は未刊、岩切正介の部分訳が『飛行』24号〈1991年春、ガーデン会〉にあり)。1964年にパリ大学ナンテール校の心理学教授に就任、83年に退官、99年死去。
ラカンの学位論文『人格との関係からみたパラノイア性精神病』中の著名な症例としてしられる「エメの症例」はアンジューの母の症例であった。アンジューは師ラガシュとともにラカンを「導きの糸となった人」としてあげているが、はじめ二人はこの事実を知らなかった。のちラカンとは離反し、フランス精神分析の一つの流れをつくった。アンジューの精神分析は、フロイト理論の初期からの再構とともに、メラニー・クライン、ウィニコット、メルツァー、ビオンなど、英国のクライン学派により親近する立場から独自な理論を構築している。集団精神分析の名著 『集団と無意識』はもう一つの主著。

【書評】
(鷲田清一/共同通信「21世紀らいぶらりい」 2000.12)
「人間にとって皮膚とはどういうものなのか、人間はなぜ何かに包まれていたいと思うのか、しかしときにまたそれが破れているように感じるのか、それを傷つけ孔をあけてみたいと思うのか。『わたし』が何ものかからの分離によって、つまりは皮膚の引きはがしとして、誕生したことに、それはおそらく深くかかわっている。……密着、しがみつき、温み、冷え、痛み、かゆみ、重み、はがれ、震え、吐き気、声、ざわめき…そして自己破壊、言葉という別の皮膚、こういう感覚の渦のなかで『わたし』がどのように呻いてきたかを論じる。」

(鷲田清一/読売新聞 1994.1.10)
「皮膚はこのように、ときには他者との深い交通の窓となり、ときには自己の硬くてもろい鎧あるいは防壁ともなる。……この分析を紡いでいるのはしかし、『私』という存在の壊れやすさへの、詩的ともいえる繊細な想像力である。」

(谷川渥/みすず「1993年読書アンケート」 1994.1号)
「驚くべき本だ。芸術の皮膚論なるものを唱えて『鏡と皮膚』というテーマで雑誌連載を続けていた私にとって、強力な援軍とも恐るべき衝撃ともいえる書物である。」

(赤間啓之/図書新聞 1994.2.12号)
「転移神経症が大きな意味を持つラカン的分析は、いわゆる『境界例』になかなか触れたがらないものだが、その点アンジューは、まさしく皮膚―自我というコンセプトゆえに、この問題に正面から取り組めている。」

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