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歴史系/地域史・地誌/文化人類学・民族学・民俗学・歴史人類学/表象交通論

シャシンブンシュウ サワラノタイサイ

●写真文集『佐原の大祭』

『佐原の大祭』

佐原アカデミア サワラアカデミア【編】
/小関与四郎 コセキヨシロウ【写真】
/エッセイ=神崎宣武・森田朗・関谷昇・
中江有里・菅井源太郎 文=言叢社編集部(島亨)【文】
ISBN: 978-4-86209-063-8
[菊五判並装]192p 220×152mm
(2017-02-11 出版)
定価=本体2315円+税

§佐原の町衆だけが造りあげた比類ない「大人形飾り山車」の祭礼。
その成り立ちの謎、魅力をあますところなく伝えるカラー写真文集。

●「小江戸」千葉県香取市佐原の町を造り上げた伊能一族の中から「日本全図」を創りあげた伊能忠敬が生まれた。
●それのみならず、佐原の町衆は独創的な祭礼文化を培ってきた。
●明治のはじめに生まれた町の規範=「町々車輪の如く 隔年に年番役 相い勤め申す可く様」 には、どんな含意がこめられていたのか。
●一つの町の存立にとって「祭り」はどんな価値をもたらすものだったのか。

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【目次】
■さあ、祭りにでかけよう
 1.さあ、祭にでかけよう―いのちと心意気
  ●多彩な山車・屋台祭りの文化
  ●水郷の三岔口都市「佐原」
 2.佐原の大祭―「曲曳き」の魅力
  ●豪壮で優雅な「曲曳き」
 3.佐原の大祭の特質―山車と大人形の特異性
  ●江戸型とは山車の立ちあらわれがちがう
 4.人像造形の歴史を伝える
 5.「人像の神」と「生き物の神」
 6.山車を動かす力
■佐原の町立て
 7.佐原の町立て、その構造―本宿と新宿
  ●佐原のはじまり
  ●本宿の開発
  ●近世佐原の台頭―寄洲の新田開発と利根川東遷
  ●佐原「町立て」の構造―用水堀の構築
  ●新宿の開発と枝村・関戸
  ●本宿の用水堀
  ●台地直下の湿地と用水堀
  ●用水堀の成立年
  ●旗本知行支配による分郷と、町衆による町立て
  ●自然村の祭祀と、惣町鎮守の祭祀
  ●出水・洪水と町衆の結集
  ●町衆が継承し続けた、中世にはじまる「惣」の観念と力
  ●茫々としたうみ・寄洲から立ち上がるもの
  ●「佐原の大祭」は町衆の祭り
  ●町衆による祭りはアジアでは日本しかない
■本宿鎮守の謎
 8.本宿鎮守成立の謎―神座の交換と交代
  ●二つの「牛頭天王神」祭祀があった
  ●「新宿天王臺」の「牛頭天王宮」
  ●牛頭天王神の漂着伝承
  ●八坂神社と摂社・水天宮―神座の由来
  ●「牛頭天王神」と「市守神」の交換
  ●「市守社」は上中宿の路上にあった
  ●八日市場の先陣争い
  ●鎮守祭礼と各町の地位をめぐる力動
■本宿・夏祭り―八坂神社祇園祭
9.本宿・夏祭り―八坂神社祇園祭・山車附祭り
  ●八坂神社「神輿神幸祭」と附祭り
  ●鉾神籬・三匹獅子・猿田彦・でくでくの神楽
  ●江戸の祭りのおもかげ―造り物の伝統
 10.鷹・鯉を戴く―天空の神々と町衆
  ●鷹の山車、鯉の山車
  ●神々の系譜
  ●鯉と洪水と祇園八坂社
 11.大人形飾り山車の揃い踏み―明治・大正期の革新
  ●本宿各町の山車―飾りもの(神)、山車本体、彫刻、額
  ●半間の伝統
  ●さまざまな山車飾りから、大人形飾りへ
  ●山車群の多彩で多様な展開の華
 12.伊能忠敬を生んだ町衆の伝統 もどる ■エッセイ 町衆がつくった「まつり」と「山車」―神崎宣武
  ●佐原の山車に「つくりもの」の祖型をみる
  ●「山」にこそ民間信仰の元がある
  ●都市のエネルギーがヤマを華やかに飾った
■エッセイ 佐原の大祭―その背景にあるもの―森田 朗
■エッセイ 受け継がれる町衆の自治―関谷 昇
  ●祭りのダイナミズム
  ●歴史的に育まれてきた地域自治
  ●生きられる空間
■エッセイ 帰りたい場所―中江有里
■新宿・秋祭り―佐原の大祭
 13.新宿・諏訪神社の創建と祭礼―触頭と巻軸
  ●神輿の発輿と神幸還御の行列
  ●別当寺・諏訪山荘厳寺
  ●神輿巡幸路の変遷
  ●惣鎮守・諏訪大明神の創建と伊能権之丞家
  ●諏訪大明神の内神、御神輿、御神幣
  ●各町練り物・屋台の「番組取り決め」
  ●「永代触頭」と「巻軸」
  ●四代目権之丞智胤「心殿居士」
  ●新宿惣町―三つの力動の線
  ●町衆が権之丞家の権威を超えたとき
 14.「町々車輪の如く」―その含意の深さ
  ●明治一〇年の改革―新宿惣町「年番制度」の確立
 15.関戸、大人形飾りの登場
  ●先導の神「猿太彦命」
 16.町の歴史が刻む「対抗文化」の諸相
  ●触頭の誇りと怒り
 17.新宿惣町の人形飾り山車―大人形飾りの系譜
  ●秋祭りの花―大人形飾り山車列の圧倒する効果
  ●電線普及に対処した独自の「せりあげ」と「提灯胴」
 18.人形造形の系譜―頭、首の大切さ
  ●江戸人形師、最後の花
  ●二人の「生人形師」
  ●三つの人像造形の流れ
  ●山車人形とはなにか
 19.祭りと儀礼―創りだされる約束
  ●踏切渡りから生まれた着脱儀礼
 20.小野川の浄化と祭りの新たな創造
  ●小野川を核とした新たな「祭り空間」
 21.山車祭りにつどう人々―祝祭の深層
■エッセイ 佐原囃子のこと―菅井源太郎
■佐原の大祭―山車祭り案内

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【写真】
小関与四郎
千葉県および茨城県沿海部を主なフィールドとする郷土の記録写真家として国内外に知られる。
1935年、千葉県匝嵯郡野栄町(旧栄村)に生まれ、自転車店に奉公の時、古物カメラを入手し、写真を独学。カメラ雑誌に投稿して数多くの入選・特選を果たす。1964年、『カメラ芸術』(中日新聞社)の編集長よりプロ待遇として「オッペシの女」を同誌に8ページ一挙掲載され、デビュー。1972年、『写真集 九十九里浜―海に生きる人々』を出版。翌年、日本写真協会新人賞を受ける。1984年、九十九里浜の砂原を会場として、「九十九里浜の30年展」を開催、1週間に万人を超える人々が訪れ、大きな反響を受ける。
●写真集・著作
『写真集 九十九里浜―海に生きる人々』(木耳社、1972)、『写真集 成田国際空港』(木耳社、1982)、『大利根用水』(関東農政局、1992)、『九十九里浜有情』(東京新聞社、1993)、『写真集 九十九里浜』(集大成版、春風社、2004)、『写真集 消えた砂浜』(日本財団、2005)、『国鉄蒸気機関区』(アーカイブス、2008)、『鯨解体』(春風社、2011)、『写真文集 佐原の大祭』(言叢社、2017)

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