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既 刊

養育論(心の発達と病理)・福祉論

誰がこの子を受けとめるのか ダレガコノコヲウケトメルノカ―「ヒカリノコドモノイエ」ノキロク

●誰がこの子を受けとめるのか
 ―「光の子どもの家」の記録

菅原哲男 スガワラテツオ【著】
ISBN: 490591387X
[四六判並製]296p
(2003-02-20出版)
定価=本体1524円+税

§子どもにとって「家族に替わる存在はない」けれど、
代替するに値するだけの「愛」の存在を信じ続けて行動してきた
民間の養護施設「光の子どもの家」19年の記録。

◇いま養護施設入所のほぼ全てが親の虐待を被けた子どもたちであり、「児童虐待防止法改正法」(2002年11月)の施行にもかかわらず、虐待を被けた子たちの受け皿として児童養護施設は、人が足りない、対応方法も手探りの野戦病院化している。
◇今何よりも、子どもたちに豊かな心の生活を与えられる「家族の力量」と、家族から切り離された子どもたちを「受けとめ」て、育むことのできるような「社会の力量」が問われている。
◇「光の子どもの家」の経験の記録は、今を生きる全ての子どもたち、これから生まれてくる全ての子どもたちにとって、養育の大切な参照の経験となっている。

【主な目次】
Ⅰ 「光の子どもの家」の家族とともに
 はじめの一歩~光の子どもの家開設一〇年を経て/家族1(家族という情緒・則幸のこと・柴田さんの自殺・信夫・祥子と父の死)/家族2(年末の風景・帰る場所・偏愛のすすめ)家族3(協力・思春期真っ只中・寄る辺)/家族4(山下ファンド・尚一のこと)/家族5(暮らし・共に担う者・うわさ・言葉)/家族6(かけがえのない一人・新しい家族像・自立をかちとる訓練)/自立(高山嬉の場合・ホントウの〈自立〉・入野隆の場合)/信じる/関係/真実告知
Ⅱ 『光の子』初期通信
 狭い門から/悲しんでいる人たちは/心の貧しい人々は/柔和な人々は/義にかわく人々は/憐れみ深い人々は/心の清い人々は/平和をつくりだす人々は/かがやきあう/お祭り/かわる/辞める/意欲/伝える
Ⅲ はたらくということ
 はたらく(居会う・一緒に走る)/はたらくことと居ること/人になる/子どもをまもり育てる/「措置変更」ということ/子どもに関わる/愛される/暮らしの中で/小舎制養育の流れ/四天王プラス一/彷徨/出会い/私に与えられたもの
Ⅳ 出発(たびだち)
 出発1~急がないで/出発2~隣る人/出発3~共に生きるということ/出発4~萌季のたびだち(萌季が出発つ・真実告知・世代間伝達の超克・祝いとしての日常・思春期・ 決意・労働権と生活権・子どもの権利擁護・自己受容1・アメリカ留学・自己受容2・プライバシー・自己受容3・利用する子どもたちは・自立)/あとがき

【著者紹介】
菅原哲男(1936年~)
秋田県羽後町生まれ。青山学院大学物理学助手・婦人保護施設「いずみ寮」、児童養護施設「城山学園」「愛泉寮」を経て、1985年に「光の子どもの家」を設立。施設長を務める。聖学院大学・足利短期大学講師。

【書評】
(芹沢俊介氏評/週刊朝日 2003.4.4)
「十代にいたるまでの年齢の子どもがまず学習しなければならないことは、どんなことがあったとしても、決して断ち切られることなどない人との関係であると著者は述べる。つまり、『隣る人』の獲得だ」「職員の仕事は、何ができなくてもいい、居続けること。…そのために施設は、担当の変更をおこなわないこと、さらに『措置変更と解雇はしない』という態度を一貫して取り続けなくてはならない。」「①養護施設の見習うべきは、親子関係にみられる偏愛である。②情緒の涵養を第一義に、約束ごとを可能なかぎり少なくする。③養護施設は男がいなくても成り立つが、女が一人もいなくては成り立たない。④親の行方は手を尽くして追求する。…「光の子どもの家」の実践は、核を失った現代日本の家族関係を鮮やかに照らし出しているのである。」

(加藤和生氏/精神療法 vol.30、no.1 2004.2)
「本書は,菅原氏が小舎制養育の理念に基づき,1985年に新設した児童養護施設「光の子どもの家」の起業・設立から現在までの歴史,その運営・養護理念、実践で出会った子どもと家族,そして子どもたちの最善の道を探る上で遭遇する多くの問題との格闘のドラマを描いたものである。この中で繰り返されるテーマとは,①家族の役割とその重要性,②徹底的に甘え(愛情)を享受させることと養育者と子どもとの関係が「特別な関係」であることを保証(養育者が替わらない・換えないこと)することの二つをとおして,他者への基本的信頼感と健全な自尊感情を形成することができるということ,そして③②を基礎にはじめて社会的自立は可能となること(またその困難さ)であった。」「養育者1名が数名の子どもを継続的に責任担当するという一つの疑似家族を構成し,そこに家庭機能を最大限に再現しようとする。幼児期では偏愛とも言える愛情を与えることで愛されることを体験させ,それを通して基本的な他者への信頼感を形成し,またほめられることで自尊感情を構築しようとする。また,このようにできあがった信頼感と自尊感情を基礎として,児童・青年期にかけては社会的自立あるいは自律を獲得させる。これは,まさに愛着障害の治療的実践といってもよいだろう。」「本書は,愛着障害・児童虐待被害者(児)など重篤な最早期の愛着関係に関わる問題に関心のある臨床家、発達研究者(とくに,愛着・甘え),社会福祉に関わる専門家,そして現在子育て中の親にとって学ぶところの多い本であり,是非とも一読をお薦めしたい。」

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