養育論(心の発達と病理)・福祉論/ 精神分析・心理・カウンセリング学系/実用書系
崎尾英子 サキオエイコ【著】 ISBN: 4905913446 [四六判上製]274p 20cm (1992-10-19出版) 定価=本体1942円+税
【NHKと教育電話相談(1991年)の窓からパート1】 自閉、不登校、拒食、暴力など17のラジオ相談の症例に具体的にふれながら、日常の言葉にふくまれる関係の病理とそれを越える心の態度と言葉の技術をじっくりと語る名著。
【主な目次】 1. 子どものしつけをめぐって(症例:4歳児・女「どうしてもわがままに思えます」、症例:4歳児・男「においに敏感で、よそでお手洗いに行けません」、症例:小1・女「小学生ですが、おしっこをもらしてしまいます」、症例:小2・女「自分に不利なことは言わない子なんです」) 2. 学校をめぐって(症例:小2・男「登校をしぶっています」、症例:小3・男「“お行儀のよい子”なのですが、学校に行けなくなりました」、症例:小4・男「子どもが自分から行く気になるまで見守っていていいのでしょうか」、症例:高1・男「一浪して入った学校なのに、“つまらなくなっちゃった、やめたい”といいます」……… 3. “関係性”を考える(症例:中2・男「2歳の時から中学2年の今まで“自家中毒”といわれています」、高1・女「“自分はだめなんだ”という思い込みがとても強いんです」)
【著者紹介】 崎尾英子(1949~2002年) 福岡県生まれ。国際基督教大学、東京慈恵会医科大学卒業。精神医学、児童青年精神医学を専攻。国立小児病院精神科医長を最後に若くして死去。ベイトソンの論理階型理論をもちいながら、親と子の日常対話が陥っているダブルバインド状況を具体のことばに即しながら徹底して分析、これを乗り越えて新しい関係を創りだしていく態度やことばのあり方を模索しつづけるとともに、多様な自己のあいだの(複数の)関係をいかに肯定し統合するかの実践理論(自己間関係理論)を提唱するギリガンの技法や、EMDR法(眼球運動による脱感作と再処理技法)などを積極的に取り入れ、新しい統合されたカウンセリングの理論と実践の構築をめざした。本書のほか 『子どもを支えることば』、 『愛という勇気』 〈訳〉(以上、言叢社)、『こころを聞く』(大修館書店)、『新しい子供たち』(彩古書房)、『EMDR症例集』(編、星和書房)、D・シュナーチ著『パッショネイト・マリッジ』(監修、作品社)、〈VHS〉『崎尾英子のカウンセラーのためのスーパーヴィジョン―人間が人間を精神的に援助するということ』(紀伊國屋書店)がある。
【書評】 (芹沢俊介/産経新聞 1992) 「著者のカウンセリングの言葉ははっとするほど事態の機微に触れており、読むものをうならせる、何よりも相談者との距離の取り方が凄い。指示を与えるのではなく相手に自分の行動のパターンを気づかせること、それにもとづき子供への対応を改善しようとするのを援助することに徹している。G・ベイトソンの人間関係論―二重拘束の概念(修正した後の)―を駆使する分析の論理は透徹しており、揺るぎがない。」