トップへもどる

既 刊

表象交通論/現代思想/文学

ジョイスノメイキュウ―『ワカキヒノゲイジュツカノショウゾウ』ニハマルホウホウ

●ジョイスの迷宮―『若き日の芸術家の肖像』に嵌る方法

ジョイスの迷宮 金井嘉彦 カナイヨシヒコ・
道木一弘 ドウキカズヒロ 【編著】
【共同執筆者】南谷奉良・平繁佳織・
田中恵理・小林広直・横内一雄・金井嘉彦・
道木一弘・中山 徹・下楠昌哉・田村 章
ISBN: 978-4-86209-062-1
[四六判並装]本文340p 18.8cm
(2016-12-05出版)
定価=本体2600円+税

§ほんとうのことを作者はいかにことばで語るのか。
暗がりのなかで手探りする物語がある。存在の証しに向けた作者の「ことば」による悪戦、そこからの到達を見据える批評論集。

『肖像』100周年記念論集――JJJS創刊
●「原=肖像」から『スティーヴン・ヒアロー』を経て『肖像』へと至る10年の歳月は、ジョイスがジョイスになるためにくぐり抜けなくてはならない迷宮だった。光と空を、出口を求めて暗がりのなかで紡がれた言葉を、ジョイス研究の先端をゆく10人の研究者が読み解く。
本年2月刊行の『ジョイスの罠』(『ダブリナーズ』100周年記念論集)につづく文学評論の力作。

【おもな目次】
〈アリアドネの糸〉となる10の論考と21のコラム
まえがき(道木一弘)
『肖像』―構成とあらすじ、登場人物相関図(小林広直・南谷奉良・金井嘉彦)
本編
第一章 おねしょと住所―流動し、往復する生の地図(南谷奉良)
第二章 『若き日の芸術家の肖像』における音響空間(平繁佳織)
第三章 自伝性と虚構性の再考―『若き日の芸術家の肖像』におけるずれた時間軸の狭
      間から(田中恵理)
第四章 〈我仕えず〉、ゆえに我あり―間違いだらけの説教と狡猾なスティーヴン/ジョイスの戦略(小林広直)
第五章 盲者の視覚―『若き日の芸術家の肖像』における語りと視覚(横内一雄)
第六章 アクィナス美学論の〈応用〉に見る神学モダニスト的転回(金井嘉彦)
第七章 ヴィラネル再考―ジョイスとイェイツの間テキスト性について(道木一弘)
第八章 象徴の狡知―『若き日の芸術家の肖像』あるいはショイス版「実践理性批判」
       (中山 徹)
第九章 スティーヴンでは書けたはずがなかろう―ヒュー・ケナー『肖像』論における作者
      ジョイスとスティーヴンの関係性(下楠昌哉)
第十章 スティーヴンと「蝙蝠の国」―『若き日の芸術家の肖像』における「アイルランド性」
      (田村 章)
附編
『肖像』を読むための二一項(執筆者全員による)
フォトエッセイ(本編各章末に収録)
執筆者紹介
引用・参考文献一覧
索引

【編者・執筆者紹介】(論文執筆順)
●南谷奉良(みなみたに よしみ)
一橋大学言語社会研究科博士後期課程在籍。横浜国立大学・専修大学非常勤講師。著書・主要論文 『ジョイスの罠―「ダブリナーズ」に嵌る方法』(共著、言叢社、2016年)、「芸術と生と情熱の〈エゴシステム〉―ジェイムズ・ジョイスの『若き生の断章』(“Chapters in the Life of a Young Man”)」(Joycean Japan 第二七号、2016年)、「「プロテウス」における恐水と救出の風景―『ユリシーズ』にみる近代的動物としての犬―」(Joycean Japan 第二六号、2015年)ほか。
●平繁佳織(ひらしげ かおり)
ユニヴァーシティ・カレッジ・ダブリン英文学研究科博士課程在籍。著書・主要論文 『ジョイスの罠―「ダブリナーズ」に嵌る方法』(共著、言叢社、2016年)、“Named But Not Told: Dublin in the “Wandering Rocks” of Joyce’s Ulysses.” (東京大学大学院英文学研究会『リーディング』第三二号、2011年)ほか。
●田中恵理(たなか えり)
九州大学博士後期課程在籍。主要論文“A Study of Pornographic Descriptions of Women and Molly’s Artistic Monologue in Ulysses.”(『九大英文学』第五七号、2015年)、「Dublinersの女性―抑圧と解放―」(『九大英文学』第五三号、2011年)ほか。
●小林広直(こばやし ひろなお)
早稲田大学文学学術院博士課程在籍。早稲田大学文学学術院英文学コース助手。著書・主要論文『ジョイスの罠―「ダブリナーズ」に嵌る方法』(共著、言叢社、2016年)、「回想による時間の圧縮と逆行―『若き日の芸術家の肖像』第一章における時間軸の歪みについて―」(Joycean Japan第二七号、2016年)、“Rereading” The Dead” as Ghoststory”(Joycean Japan第二六号、2015年)、ほか。
●横内一雄(よこうち かずお)
関西学院大学教授。著書・主要論文『ジョイスの罠―「ダブリナーズ」に嵌る方法』(共著、言叢社、二〇一六年)、「マリガンのヘレニズム考―『ユリシーズ』第一挿話における文化の政治学」(京都大学Albion復刊第五五号、2009年)、「『自我の上へ亡命して』―『フィネガンズ・ウェイク』第一部第七章におけるシェムのメランコリックな幼年期」(『英文学研究』第八二巻、2005年)ほか。
●金井嘉彦(かない よしひこ) 
一橋大学教授。著書 『ジョイスの罠―「ダブリナーズ」に嵌る方法』(編著、言叢社、2016年)、『ユリシーズの詩学』(東信堂、2011年)、『ジェンダー表象の政治学―ネーション、階級、植民地』(共著、彩流社、2011年)ほか。
●道木一弘(どうき かずひろ)
愛知教育大学教授。著書・主要論文『物・語りの『ユリシーズ』― ナラトロジカル・アプローチ 』(南雲堂、2009年)、『英文学の内なる外部―ポストコロニアリズムと文化の混交』(共著、松柏社、2003年)ほか。
●中山 徹(なかやま とおる)
一橋大学教授。著書『ジェンダーにおける「承認」と「再分配」―格差、文化、イスラーム』(共著、彩流社、2015年)、『ジョイスの反美学―モダニズム批判としての『ユリシーズ』』(彩流社、2014年)、『文学研究のマニフェスト―ポスト理論・歴史主義の英米文学批評入門』(共著、研究社、2012年)
●下楠昌哉(しもくす まさや)
同志社大学教授。著書・主要論文『幻想と怪奇の英文学Ⅱ―増殖進化編』(共編著翻訳、春風社、2016年)、『幻想と怪奇の英文学』(共編著、春風社、2014年)、『妖精のアイルランド―「取り替え子」の文学史』(平凡社、2005年)ほか。
●田村 章(たむら あきら)
金城学院大学教授。著書・主要論文『表象と生のはざまで―葛藤する米英文学』(共著、南雲堂、2004年)、『フィクションの諸相―松山信直先生古希記念論文集』(共著、英宝社、1999年)、「『フィネガンズ・ウェイク』第Ⅲ部第3章冒頭における聖パトリックの描写について」(『金城学院大学論集』(人文科学編)第十巻第二号、2014年)ほか。

●もどる↑

Copyright(C)言叢社